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碇/錨(いかり)の歴史と豆知識

更新日:2022年8月31日

海運業界・船のことを知りたい人向けに、浅く広く船の『いかり』についてご紹介します。


目次

 1.碇の歴史

 2.碇の色々

 3.錨の事故例まとめ


 

1.碇の歴史

 錨(いかり)とは、船を一定の場所に留めるおもり。綱や鎖をつけて水底に落として使用する水具のことです。


 『錨自体の重さ』と『海底面との引っかかり(抵抗)』によって船の移動を制止しており、爪などが水底に刺さることで抵抗力を生むものをアンカー、それ自身の重さによって抵抗力を生むものをシンカーと呼びます。


<錨の歴史>  紀元前2500~2000年  現在確認されている中では最も古い錨は、石にロープをくくりつけただけの原始的な作

 りだった。


 紀元前1100~300年  2つ穴と上部の穴が直交するような石錨が現れ、木製の爪だけでなくストックも現れ始め

 る(現在使用されているストックアンカーの原型)


 紀元前700~紀元後1300  木錨が登場。棒状に加工した石を木の本体で挟み、ロープで縛り付けたものと思われる。

 爪の先端に鉄などの金属を使用しているものもある。


 紀元前500~紀元後500  石だった部分が鉛などの金属に置き換えられた木錨が登場。


 6世紀~  鉄の錨が登場。


 20世紀  汽船の広まりと共に、様々な形の錨が開発され、現在の形状に至る。



 

2.碇の色々


①錨についての豆知識・トリビア  ・錨の重さ :小型船舶は数キロ。大型船舶は数トン~数十トン  ・錨の長さ :数百メートル。大きいものは東京タワー(333m)より長い  ・錨の回収 :チェーンと船体が擦れて火花が出るので、海水をかけながら回収する。

 ・錨の規則   錨と錨鎖は船の載貨重量と船種によって決まる「艤装数」に基づいて、各船備えるべき

  ものが規定されている。規定は日本では国土交通省の「船舶設備規程」と日本海事協会

  の「鋼船規則」がある。

②日本の錨メーカー  海上自衛隊や旧国鉄では錨の開発を行っていたが、国鉄の民営化などで開発中断されたものも多い。現在は、日本各所の商船学校・大学などで研究が行われており、中村技研工業や清本鐵工株式会社が錨の製造を行っている。


③他業界で引用される、『アンカー(錨)』という言葉  ・リレーやレースの最終競技者  ・サッカーの守備的ミッドフィルダー  ・ラジオ番組で、番組内容を最後に整理してまとめる人  ・登山で身体をつなぎ合った最後尾の者   etc..


 

3.錨の事故例

 錨はいわば極太・超重量(数~数十トン)の鉄のチェーンです。その為、操作を誤ると重大事故に発展しかねない。少し事故例を紹介します。


 ・錨を下ろす勢いがつき過ぎる ➡ 錨が切れて飛んでいく  ・走錨(錨が海底に引っかからず、船が停止しない) ➡ 船が岸壁に激突  ・航行中の錨投下や投下時の速度操作ミス ➡ 船から外れた錨が海底に落下  ・錨投下/引上げ時に人が巻き込まれることがある  ・製造時の不純物混入や、亀裂が入ることで錨が破損する事がある


 

まとめ

①錨とは 

 船を一定の場所に留める為のおもり。綱や鎖をつけて水底に落として使用する水具。


②錨の豆知識

 錨はその用途に応じて、重さやサイズ・形状が多様だが、総じて重厚長大。

 アンカー(錨)という概念は分かりやすく、その言葉が他業界でよく引用されている。


③錨の事故

 錨は重く大きいことと、動く船を留めるという使用方法から、重大事故に繋がるケースも

 ある。取扱いには注意が必要。


参照データ:(公財)日本海事広報協会(https://www.kaijipr.or.jp/




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