船員とは、縦横無尽に海を駆け各地の港を行き来しながら働くロマン溢れる仕事だ。
まさにプロフェッショナル。専門性が高そうな職業だが、未経験から船員になる方法や、未経験向けの船員求人はあるのだろうか。
結論から言うと「未経験からでも船員になれるし求人もある」
しかし、船乗りは向き不向きがはっきり出る職業でもあり、実はなり方や会社選びがとても重要だ。
この記事では、これまで100人以上の船員志望の未経験者の相談に乗ってきた経験の全てを余すことなくお話しよう!
【目次】

1)船員求人はどこで探せばいいの?
船員求人は一般的な職業求人と少し異なり、転職サイトに求人が殆ど載っていないし、
転職エージェントもいない。そんな職業での求人の探し方を紹介しよう。
〇国交省(各地方の運輸局)経由で探す
「船員求人情報ネット」を使ったり、最寄りの運輸局で求人を紹介してもらう方法だ。
会社や船内の雰囲気までは十分にわからないが、掲載案件数はズバ抜けて多いぞ。
〇船会社のHPを探す
HPを保有している船会社の場合は、求人案件を掲載していることが多い。
船員インタビューや細かな待遇まで掲載されていることも多いが、HPがある会社はまだ少数派で、会社名を知らないとHPが見つけられない場合も多い。
〇SNSで探す
会社によってはSNS(TwitterやInstagram、YouTube、TikTok)などで、船内風景や求人情報を発信している会社もある。まだ数は少ないが、船員の日常や穴場案件などを見つけることができる。
〇知人の紹介
知り合いや伝手に、会社を紹介してもらう手段もある。
周りに船会社の人や船員がいる前提になるので、知り合いがいればラッキー程度で考えておこう。

2)未経験から船員になる手段
未経験から船員になる方法はいくつかある。
〇未経験採用をしている会社に就職する
最短距離で船員になる方法は、未経験者を採用している会社に就職することだ。
これが一番現場に出るのが早い、まさに叩き上げルートだ。
海技免状(船員の国家資格)を持たない状態でのスタートになるが、一定期間以上の乗船経験があれば、国家資格を受験できるようになるので、そこで資格を取得すればよい。
未経験者がいきなり戦力になれるはずもないので、未経験者を採用できる会社は、
・船内に余剰船員を登場させられるスペースがあること
・未経験者を育成できる人的・資金的余力があること
が条件になってくる。
資格なしで就職できる会社の数はあまり多くはないことは念頭に置いておこう。
〇六級免状を取得し、就職する
世の中には、普通高校や一般の大学、社会人などの未経験者が船員になるための教育機関が存在する。それが六級養成機関だ。
いきなり現場に飛び込むのはちょっと。。。
という人にはこのルートがおすすめだ。
10.5ヶ月の短期間、約42〜43万円の受講料で座学から乗船実習までを行い、
自分の適正を知った上で就職できたり、船乗りの同期を得ることができる。
未経験で就職するより、養成期間を出た方が就職できる会社の幅がぐっと広がると共に、
養成機関向けの就職イベントなどもあり、諸々サポートを受けることができるぞ。
養成機関は広島尾道・熊本天草・徳島阿南・関西などで開催されており、
それぞれ特色があるので自分にあった学校に行くことをおすすめする。
この養成機関だが、実は2つの入学ルートがある。
〇六級養成コースを受講した後で就職する
学費や生活費が自己負担だが、適正や好み、会社の評判を確認した上で自由に会社を選ぶことができる。
〇未経験で就職し、ひも付きで六級養成コースを受講する
学費や生活費は会社負担してもらえるメリットがあるが、紐付きなので就職先は決まっている。
この辺りは、優先したい項目や、その時の経済状況にもよると思うので、自分にあった方法を選ぶと良いだろう。
他にも短大や大学の専攻科に進むという選択肢もあるが、かかるお金と時間が桁違いで、就職してから向いていないとわかる場合のダメージが大きいので、あまりお勧めはしない。

3)船員の部署と役職について
船内の役職は大きく分けると、船の操縦や荷役作業(貨物の積み・下ろし)の監督を行う甲板部とエンジンや船内機器の管理を担当する機関部に分かれる。
なってみたい役職を目指すのが一番だが、2022年現在、機関士の方が市場ニーズが高い。
〇甲板部(航海や荷役を担当)
甲板部は、貨物の安全輸送や、航海全般を管理する運転手のようなポジションだ。
航海予定航路の波や風、混み具合などの条件を考慮し、機関部と相談しながら航海計画を決定する。航海中の貨物管理も甲板部の仕事だ。役職は下記の通り。
・船長
船の最高責任者。全乗組員に指示を出し、安全で効率的な運航に努める
・航海士
操船や整備、航海当直を担当。一等航海士、二等航海士、三等航海士で業務が異なる。
・部員
航海士の指示のもと、甲板機器の保守整備、そして荷物の積み下ろしや巡回を行う。
〇機関部(エンジン、ボイラーなどの機器を担当)
機関部は船のエンジン(主機)や発電機(補機)をはじめとする機器の運転と整備を行う部隊だ。船には動力源たるエンジンや発電機のみならず、電気系統や空調設備など、船の運航や、船員が生活するための機器全般を管理している。
設備の限られた海上にいるからこそ、故障などのトラブルなく船を管理することが重要だ。船の動力部を担う機関部は、まさに船のエンジニア集団だ。
・機関長
エンジンやプロペラなど、船にある機械や装置の運転と管理を担当する総責任者。
・機関士
様々な機械の運転と管理を担当。
一等機関士、二等機関士、三等機関士の階級で担当が異なる。
・部員
機関士の指示のもと、機械の点検・整備燃料管理・清掃・修理などを行う。
以上、未経験から船乗りになるために、参考になる情報があったなら幸いだ。
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