こんにちは、アニキ船長です。
今回、解説するのは甲板部員の仕事。
この記事を読んで甲板部員の詳しい仕事内容と船内での役割を理解しよう。
(⬇︎動画で見られる場合はコチラ)
<目次>
①甲板部員の仕事とは
②甲板部員の一日
③現役甲板部員にインタビュー
1.甲板部員の仕事とは
甲板部は、一等航海士、二等航海士、三等航海士、甲板部員で構成される。
中でも、甲板部員は甲板長を筆頭に、甲板手、甲板員に分けられる甲板部の実働部隊だ。
甲板長は、一等航海士の指示のもと、貨物管理を担当するほか、
他の甲板部員を取りまとめ、船体のメンテナンス作業や、入出港時の係船作業を行う。
甲板手は、航海士と一緒に見張りや操船補助などを行う「クォーターマスター」と、
甲板長の補佐役をする「ストアキーパー」に分けられる。
甲板員は航海士の指揮のもと、舵とり、荷役、甲板機器の保守整備などを行う役職だぞ。
サビ打ちや、ペンキ塗り・ロープの補修から、皆が利用する居住区の清掃まで、
業務範囲は幅広く、体力や正確に業務を遂行していく能力が必要だ。
気になる甲板員のお給料だが、今回インタビューした甲板部員の年収は400~600万円。
航海士に昇進し、役職や給料を上げて行くというキャリアプランを取る人が多いようだ。
2.甲板部員の1日
ここからは、とある甲板部員の1日を紹介します。
深夜0時 航海当直
航海士と一緒に当直に入り、夜間当直は2時間ほど居住区の清掃を行う。
船乗りの当直サイクルは午前午後とも0時~4時、4時~8時、8時~12時、
4時間交代の1日2回、三交代で航海当直にあたる。
4時 当直終了
夜間の当直が終わると朝食を取り、7時まで睡眠。
8時 甲板作業
係船機のメンテナンス、サビ打ち、甲板部が担当する重要機器の
開放整備などを行う。
11時 昼食
司厨士が作る昼食は美味しいが、最近お腹が出てきたので、食べ過ぎ注意だ。
12時 当直業務
日中の当直は、天候が良ければ甲板作業を行い、
雨や時化などで作業ができない場合はブリッジで当直業務を行う。
16時 当直終了
食事と入浴を済ませ睡眠。
船乗りの生活リズムは不規則なので、休憩や睡眠はとても大切だ。
21時 起床
0時の当直まで海技士試験や荷役の勉強、趣味など自由に過ごす。
航海士になるには、日々の勉強は欠かせない。
荷役がある場合は、直接港に入港するか、前日錨泊するかによって
業務内容が変わってくる。
①荷役準備 → ②着桟作業 → ③荷役開始準備 → ④荷役監視 の流れになる。
荷役開始準備まで全員参加だが、荷役が落ち着いて監視に入ると数班に別れ、
休憩に入る。
荷役が終われば離桟作業に入り、離桟が完了したら荷役道具を片付け、
通常の当直に戻る。
船乗りの働き方は基本は2~3ヶ月乗船し、2週間~1ヶ月の休暇の繰り返しだ。
時には交代者が見つからず、3ヶ月以上乗船することもあるが、
逆に配乗の都合で1ヶ月弱で下船することもある。
乗船が伸びればその分休暇も長くなるし、短い乗船だと休暇も短くなるぞ。
3.現役甲板部員に突撃インタビュー
続いては、オイルタンカーで働く4年目の甲板部員に突撃インタビューだ。
(⬇︎オイルタンカーについての解説動画はコチラ)
Q.甲板部員になろうと思ったキッカケを教えてください。
学生時代に漁師のアルバイトをしたのですが、親方が人望、ユーモア、経験に溢れた人で、
若い頃に遠洋トロール船で世界中の海を回った話をしてくれました。
その経験談が衝撃的で、私も船乗りの魅力を味わってみたいと思ったのがきっかけですね。
Q.甲板部員の仕事の「やりがい」を教えてください。
甲板部員は甲板長や航海士の指揮のもと、現場で仕事を行います。
経験が無い仕事を任されることもありますが、そういった時は知ったかぶりをせず、
質問し、経験がある同僚や先輩と一緒に仕事する中で、できる仕事の範囲を増やします。
次第に上司から、信頼され仕事を任せてもらえるようになるので、
その瞬間が「やりがい」ですね。
Q.甲板部員の仕事を行う上で心掛けていることはありますか?
上司とチームで仕事をすることになるので、上司のワークスタイルや性格に合わせて
仕事をするように心掛けています。
求める仕事を指示される前に済ませておいた方がいい人なら、
前広(まえびろ)に仕事を行い、
仕事を行う前に必ず報告を求める人には、欠かさず事前相談するなど
臨機応変に対応するよう心掛けています。
Q.甲板部員に求められるスキルや心構えはありますか?
甲板部員の中でも役職によって変わると思いますが、
与えられた仕事を期限までに正確に終わらせるスキルは重要です。
役職を上がっていくために、新たな仕事を覚えていくことも必要ですね。
Q.甲板作業で新人が失敗しやすい作業や注意すべき事はありますか?
新人の失敗で多いのが、教えた作業手順を自分なりにアレンジしたり、
簡略化し、トラブルを引き起こしてしまうことです。
例えば、着桟準備でロープが絡まっていないか確認するのですが、
これを飛ばした結果、ロープが絡まり、フェアリーダーに詰まってしまいました。
(※フェアリーダー・・・船から出し入れするロープ類を保護する金物)
慌てた新人が絡まったロープを解こうとしたのですが、急に解けて、
足がロープに絡まって引っ張られた、なんて事もあります。
仕事は基本に忠実に行うことが大切ですね。
インタビューは以上です。ありがとうございました。
まとめ
①甲板部員は、航海士を補佐し、現場の最前線で荷役や保守整備を行う役職
②将来、航海士になることを目標にスキルや知識を身につけていく
③道具の使用や、船の整備など、実務を通じて力を付けていく仕事
<船員の方>
①副業として、空き時間に経験や思いを記事にしてみませんか?
記事作成経験等なくても全然大丈夫です。当社で編集・徹底サポート致します。
伝えたい想いや体験、景色をお持ちの方は気軽にご連絡ください。
*謝礼(1,000-1,500円/記事)も出ます
<海運会社の代表、人事の方>
当社では人が集まる魅力的な海運業界づくりに注力しております。
海運業界や会社様自体の認知度の向上や、船員としての経験がある方の
陸上職としての採用、デジタル化を通じた人財育成(育成負荷/コスト削減、定着率増)
にご興味があれば、気軽にご連絡ください。
<船員に興味がある方>
Webセミナーや記事リクエスト
当社では記事作成やWebセミナーを通じて、(元・現役)船員の生活やキャリア形成方
法を聞く機会を設けております。聞いてみたい話や、転職や将来的なキャリア設計に悩
んでいる方は気軽にご連絡ください。
Comments