はじめに
こんにちは、アニキ船長です。
お寿司の定番マグロや海外産の野菜、肉製品など、
私たちの食卓には、色んな国の食べ物が並んでいる。
2021年現在、島国日本の食料自給率は約38%。
半分以上を海外から輸入しているため、海上物流が止まってしまうと、
スーパーの食品コーナーはスカスカだ。
特に、畜産物や果物の多くは海外から輸入されているが
適切な温度管理が必要な食品輸送で活躍するのが「冷凍運搬船」だ。
温度管理はお手の物、常温から超低温まで調整でき、
私たちの「食」の楽しみと安全を運んでいるぞ。
この記事を読んで、見たこともない冷凍運搬船の世界と、
そこで働く船乗りの実態を理解しよう。
(⬇︎動画で見られる場合はコチラ)
<目次>
①冷凍運搬船の特徴
②冷凍運搬船の役割・仕事
③現役船員にインタビュー
冷凍運搬船の特徴
冷凍運搬船は、果物、肉、魚、野菜、乳製品など、
腐りやすく輸送が難しい食品貨物を大量に運ぶための船だ。
19世紀に冷凍運搬船が発明されるまでは、乾燥肉・塩漬けの魚など、
食料を加工し、日持ちする状態で輸送していた。
そんな中、食品の鮮度を保ち、長距離輸送できる冷凍運搬船は
世界の食文化に大きな影響を与えたんだ。
冷凍運搬船は貨物を最適な温度で輸送できるよう、船倉が特殊な構造になっている。
ハッチカバーが冷凍・冷蔵倉庫の蓋の役割を果たし、積載部には防熱材が詰まっている。
船倉は階層を区切るように可動式の蓋がついており、階層を区切ることで、
貨物を分けたり、すでに積載していた貨物の温度が変化するのを防ぐ事が出来るぞ。
他にも、船倉の温度を保つのに重要な防熱材やクーラー室、
クーラーの冷気を床にある風路を通って均一に冷やす「風路グレーチング」など、
貨物温度を最適に保つための工夫がてんこ盛り。
まさに温度管理のプロフェッショナルと呼べる船だな。
荷役方法には2種類あり、ハッチからクレーンを使い荷役を行う船と
船の側面にサイドドアを備え、船内エレベーターを使い、
フォークリフトで荷役が行う船があるぞ。
冷凍運搬船は主に食料品の輸送に適した船だが、
最近では冷凍機を端に取り付けた冷凍・冷蔵コンテナ「リーファコンテナ」での輸送が
増加しており、冷凍運搬船の数は減少傾向だ。
冷凍運搬船の役割・仕事
冷凍運搬船は鮮度が大切な貨物を輸送するため、
一般的な貨物船と比べ、船のスピードが早く、
積載部には温度や湿度、新鮮な空気を入れるための、
特殊な冷凍機器が搭載されている。
例えば、マグロは-50℃以下での輸送が必要で、
果物は、熟成や酸化を防ぐために、空気中の酸素、二酸化炭素を調節するなど、
貨物に合わせた、最適輸送ができる。
極低温輸送される「血液」「キャビア」「エビ」などの高級貨物は
繊細な温度調整が必要なので特殊な冷凍機を搭載した冷凍運搬船で輸送している。
また冷凍運搬船は他の貨物船とは違う活用法や荷役が特徴的だ。
遠洋マグロ漁業はインド洋・大西洋で1年以上かけて行われることもある。
漁獲した魚の受け取りや、漁のエサ・食料・燃料を届け、
遠洋漁業を行う漁船のサポートを行う船もある。
片道のみでは効率が悪いので、自動車などの一般貨物・青果物・冷凍肉を積載し、
複数の国を経由することで、無駄なく、貨物を輸送しているぞ。
マグロの冷凍運搬船の荷役方法は特殊で、漁船から魚を受け取る際は、
海上で船を横付けし、クレーンを使って荷役を行う。
揺れる海上で荷役を行うため、一瞬の気の緩みが大怪我に繋がることも…
事故の一例を紹介しよう。
事故① 海上での貨物の積み替え作業で、船が大きく横揺れし、
積んだマグロの雪崩れて潰されそうになった。
事故② 吊ったマグロのロープが切れ、落下してきて直撃しそうになった。
事故③ 漁船と本船を繋ぐロープが揺れの影響で強く張って切れた。
このように、一歩間違えば重大事故に発展することもある。
凍った魚は超低温で、硬く・重量もあるので、かなり危険だ。
周りの状況確認や、道具のメンテナンス、荒天や高波の際は早めに避難するなど、
もしもに備えた行動が求められるケースもあるようだ。
現役船員にインタビュー
ここからは、外航冷凍運搬船の現役船員に密着取材だ。
Q.冷凍運搬船で働くようになったキッカケを教えてください。
以前は漁船で働いていたのですが、マグロ漁船から見た冷凍運搬船の大きさに驚き、
冷凍物運搬船で働いていている先輩に話を聞き、転船を決意しました。
Q.冷凍運搬船で働く「やりがい」を教えてください。
冷凍運搬船がなければ、マグロやお肉を安く、おいしく、
安全に食べることができなくなるかもしれません。
マグロ漁など水産業界を影で支えてる実感は「やりがい」に繋がりますね。
Q.冷凍運搬船で働く長所と短所を教えてください。
長所は航路が不定期航路なので、太平洋、大西洋、インド洋、地中海と
世界中を航海することができます。
色々な文化や食、人に出会うことができるのは仕事の楽しみの一つです。
しかし、揺れる海上で行う貨物の積み替えは危険が多いです。
また、他の船と比べ、一回の航海日数が長いのも短所だと思います。
Q.他の船とは違う「冷凍運搬船」特有の職場環境や仕事内容はありますか?
魚の鮮度を保つために、超低温の積載部で魚を積む作業があります。
揺れる海上、凍った魚が積まれた足場での荷役作業は、結構危険ですね。
Q.冷凍運搬船の働き方のリズムを簡単に教えてください。
外航船は一度の乗船期間が長く、1年乗船して5ヶ月休みという働き方です。
Q.漁船と貨物船の働き方の違いを教えてください。
貨物船は船が大きいので部屋が漁船に比べて広く、生活環境の質は上がりました。
また航海サイクルがある程度予想できるので、計画的に仕事を進めることができますね。
まとめ
①冷凍運搬船は肉や魚、果物を超低温で輸送する船
②温度管理や酸素・二酸化炭素濃度を調整できる設備が搭載されている
③新鮮な食材を運び、日本の食の屋台骨を支える仕事
<船員の方>
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