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【数百万の損害】船会社が大損失を被る迷惑生物トップ3

更新日:2022年10月9日

船の経済性はなにも運賃や人件費、燃料費などの、固まった売上・費用だけで決まるわけではない。何とも予想しにくく、不確定要素の一つが生き物による被害だ。


『船の天敵』と聞くと、どのような生物を思い浮かべるでしょうか。

それは、「鯨」や「シャチ」などの大型哺乳類ではなく、意外と小柄で、私達の生活に身近な生物。


中には、人や船に危害を加えるものや、生態系を狂わせるものなど、種類は様々。

その影響は非常に甚大で、国や企業が多額の費用をかけ、対策しています。


今回は、船会社が出来れば関わりたくない、恐怖の生物トップ3を

ランキング形式で紹介します。


それでは早速見ていきましょう。

(⇩動画で見られる場合はコチラ)


<目次>

①貨物に紛れ込む『殺人昆虫』

②バラスト水に潜む『お味噌汁の具』

③毎年船に数百万の損失を出す『付着生物』

 

第3位:貨物に紛れ込む『殺人昆虫』


世界中を行き来する貨物の中には、稀に危険生物が紛れ込むことがあります。

第3位は密かに貨物に混入し、人や機材に被害を加える「殺人アリ」ヒアリです。


ヒアリは本来、南米に生息する生物。

しかし、近年、グローバル化で拡大する海上輸送により、その生息地を広げています。


その名の通り、刺されると焼けるような激痛が走ります。

日本でも、実際に港の作業員が刺される被害が出ています。


貨物に紛れ込んだヒアリは、港付近で「コロニー」と呼ばれる巣を作り、

道路を陥没させたり、電気設備に侵入し、火災や故障を引き起こします。


コンテナは目的地までは開箱しないため、ヒアリの発見が困難。

対策としては、港付近のアリが入り込む隙間を埋めたり、コンテナ置場の定期検査、発見時の迅速な駆除を行っています。


港付近でヒアリを発見した際は、環境省に連絡しましょう。

【ヒアリ相談ダイヤル】0570-046-110

 


第2位:バラスト水に潜む『朝食の定番』


続いてはバラスト水に潜む迷惑生物です。


バラスト水とは、船を安定させるため、船内タンクに貯蓄する海水のことで、貨物が少ない時に給水し、貨物を積む時に放水します。

この海水の出し入れに伴い、小さい生物が生息地を移動し、繁殖することがあります。


第2位はなんと、お味噌汁の定番「ワカメ」です。


繁殖力が強いワカメは、胞子がバラスト水に入り込み、海外に運ばれ、

乾燥わかめを水で戻した時のように爆発的に繁殖します。


唯一の天敵である「日本人」と「ウニ」が生息しない海は、わかめにとって天国そのもの。


繁殖したわかめは、養殖の牡蠣やホタテの成長を阻害したり、

漁業に使う機械に絡まり、故障の原因にもなります。


そのため、バラスト水の処理方法は国際条約で厳しく管理されるようになりました。


「フィルター」+「紫外線・薬剤・電気」などを使用し、バラスト水の中の生物を駆除しているのです。


他にも、バラスト水を介して、生態系に影響を与える生物として、

プランクトンやムール貝が挙げられます。

 


第3位:毎年船に数百万の損失を出す『付着生物』


バラスト水の処理は、国際条約で厳しく定められていますが、

船体に付着して被害を与える生物への対応はまだ不充分です。


船を襲う恐怖の生物、堂々の第1位は「フジツボ」です。


海岸のゴツゴツした岩肌で見かけるフジツボは、

海中でも強力な接着剤を作る事が出来る海の科学者。


フジツボは、人類にもまだ作れない強力な接着剤を使って、

船の表面やスクリューにべったり付着します。


その吸着力は、高速移動する船に振り落とされないほど強力で、

水の抵抗を増大させ、船のスピードを減少させます。


結果、最大20〜30%も船の燃費を悪化させ、輸送コスト増加の原因になっています。


フジツボの付着を防止するため、特殊な塗料を使用したり、

船の表面をサメの皮膚を真似て作るなど、様々な対策が考案されています。


また、付着したフジツボは、研磨剤を高圧洗浄機で除去したり、

ヘラのようなもので削ぎ取って除去しますが、それにともなう費用・手間は少なくありません。

 

まとめ


船乗りを悩ます生物トップ3いかがでしたか?

意外にも身近な生物がランクインしていたのではないでしょうか。


今回紹介した生物以外にも、貨物に紛れ込むものや、船に付着し生態系を壊すものも。


この課題解決のため、新塗料の開発や生態系保全活動が行われています。

フジツボの付着構造から、水中で使用できる接着剤の開発が行われてるなど、

彼らから学ぶことも多いでしょう。


運送の効率化と共に、生態系を考慮した海上輸送がますます期待される時代です。

今後の進展にも注目していきたいですね。

 

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