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その海運会社、本当に大丈夫?就職活動前に知っておきたい求人票の見方

更新日:2022年10月7日

学校生活も残り1年。

就職も段々と現実味を帯びてきます。

しかし、勤務することについて、あまり実感が湧かないまま会社を選択する方も多いのではないでしょうか。

お金をもらいながら、船の仕事をすること自体が新鮮で、期待感や不安が先行し、具体的なイメージが湧きづらいですよね。

先輩から聞いたかもしれませんが、よく分からないまま求人票を信じ、悲惨な船員生活を送る人は、実は少なくありません。

今回は会社選びをする上でとても重要な、求人票について解説していきます。

 


1.求人表通りの待遇は、無いと思った方が良い


2018年における、商船系大学・商船高専・海技大学校・短期大・海上技術学校卒業生の海上就職率は83%を超え、ほとんどの生徒が船員生活をスタートさせています。

しかしながら、3年以内に離職する「早期離職者」が多いことも事実で、海運業界の問題とされている船員の高齢化、人手不足の大きな要因となっています。

私の同級生や会社同期も、やはり3年以内に退職し、転職や陸上職に就いた人も多いです。


理由を聞くと「先輩船員の無理強いが強かった」、「船が忙しすぎて身体がもたなかった」等、身体・精神ともに大きな負担がかかり、途中でリタイアしてしまう人が続出してしまっているようです。

早期離職率の高さは、学生時代とのイメージギャップが影響しているとも、業界では言われています。



求められる技術や人格(シーマンシップ)もありますが、ギャップについて大きな影響を与えているのは、紛れもなく社風や船内の実態でしょう。

私は乗船日数と休暇日数を重視して1社目を選び、就職しましたが、求人票通りの稼働はほとんどありませんでした。



大体、乗船日数が延び、休暇が削減されるケースが多かったです。その分お給料に反映されているという意見もあると思いますが、長期の乗船で疲弊してしまう人もいるため、人によっては報酬より重要なポイントになってくるかと思います。

船とはケースバイケースが多く、緊急下船や運行スケジュールの変更で乗組員の交代にも支障をきたすことがよくあります。

求人票とは、真実を書こうにも表現自体が問題となることが多いため、当たり障りのない表現になってしまうのです。

 


2.新卒入社は、人生に大きな影響を及ぼす


求人票だけで判断は難しく、自社メディアを運用している海運会社も少ないことから、中々実態や雰囲気を把握することが難しく、会社を選ぶ側も困難を極めます。

学校の教官室の壁に、求人票が張り切らないほど埋め尽くされる中から、自分の行きたい会社を模索するため、なかなかの労力を要します。

私の周りでは、会社選びを途中で投げ出し、運任せで選ぶ人もいましたが、意外と長続きしている人もいました。長続きしていることに違和感を覚えますが、求人票の役目がそれほど薄いことに気付かされます。

船員は求人票に書かれている当たり障りのない内容ではなく、どのような船内生活を送るのかに掛かっています。

業務が単調すぎても、スキル向上が見込めませんし、大変すぎても精神が持ちません。

給料だけ高くて、毎日精神も身体もすり減るようでは本末転倒です。

スキルが向上しないで年齢だけ重ね、「仕事ができない先輩船員」になってしまうのも酷です。今後の船員生活を考えると、少しキツイけど、スキルがしっかりと身につく会社を選ぶことオススメします。

給料は二の次です。

早期離職は、「初めの海運会社で3年も持ち堪えることができなかった」というレッテルを貼られて、転職に不利になってしまうこともあるので注意が必要です。

辛くなったら辞めたら良い、すぐに転職したら良いと言う船員もいますが、リスクも熟知した上で会社選びを考えましょう。

 


3.会社選びは、総合的に見て判断するのがベスト


みなさんはこれから、就職活動に挑まれる中で、嬉しいことや苦労することがたくさんあると思います。

いわゆる陸上職と違って、足で稼いで100社くらいのエントリー...という訳ではありませんが、代わりに思考する力が必要です。大切なことは船員になることではなく、船員を通して自分は何者になりたいか、何を達成したいかを設定することです。

「30歳まで休暇中は海外旅行をし、それから結婚して、こんな家庭を築きたい」といった調子で構いません。会社を見て判断するのではなく、自分のやりたいことから逆算して考えるのです。


自分の望む将来を送るために、理想にもっとも近い会社をピックアップし、数社の候補が集まってから、教官に詳細を聞くことが賢明でしょう。その為の情報収集も欠かせません。


つい、「そんな自分勝手で良いの?」と疑問に感じてしまいますが、それで良いのです。あなたの人生を一番大切にしなければいけない人物はあなた自身なのです。


会社もあなたへ、成果が出せるなら長続きして欲しいと思っているはずなので、Win Winの関係になります。

また、私生活の行いが船内生活に、にじみ出てしまうことから、幸福度の高い船員を雇う方が、やはり会社側としてもです。求人票はアテにならないように思えて、1つの情報として大切です。



求人票1枚の背景には、あなたの教官が会社に掛けた営業があり、OBの先輩方が培った信用があります。


血と汗と涙の結晶の上に、私たちの就職活動が成り立つことに有り難みを持ちつつ、偏りのない会社選びをしていきましょう。

そして、このように現場からの本音や、会社で働くイメージが湧くような情報源はぜひ活用してください。


飽くまでいち意見ですが、反面教師としてでも良いので、参考になる部分はあるはずです。

皆さんが、自分に合った会社に就職し、幸福な船員生活を送られる事を心から願っています。

 

【筆者について】

氏名:高橋 敬

職業:内航船員(749t コンテナ専用船)

保有資格:3級海技士(航海)・4級海技士(機関)

経歴・船種: 海上技術学校➡内航タンカー➡現職:船長

船員を目指したきっかけ:幼少期、港へ親と一緒に行った際、大型フェリーや大型商船の離着岸に圧倒され心を奪われた

インタビュー・加筆修正:ITecMarin株式会社

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