今回は海上物流量の減少や、船員交代の制限など、海運業界や船乗りの働き方に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルス(以下コロナ)について解説し、
現役船乗りや、これから船乗りになる人向けに、船内で出来るコロナ感染予防と、感染時にすべき行動を紹介します。
(当社YouTubeチャンネルで解説している動画はコチラ)
<目次>
①海運業界への影響
②コロナ対策の3つの基本方針
③感染時の対応
コロナによる業界の影響
コロナは海運業界にどのような影響を与えたのか。
コロナによる業界の主な変化をいくつか紹介します。
①船の稼働率の変化
コロナ感染拡大以降、船の仕事量を決める海上輸送量は、全体的に減少しています。
コロナによる消費減少や、工場閉鎖に伴い、メーカーや資源会社では工場稼働率が低下し、原材料や製品を運ぶ海上輸送需要が減少しています。
また、旅客船は利用客の減少により、運休や便数の減少が発生している。
その結果、余った船が係船(けいせん)・売船されるという事例も報告されており、海運会社の収益も低迷しています。
②船員交代への影響
感染拡大防止のため、多くの国が人の移動に制限を掛けていますが、船員も例外ではありません。
特に国を行き来する外航船は、船員の交代がスムーズに進まず、乗船期間が3ヶ月延長され、長期間海上で漂流する船員も出ており、ストレスや貨物管理など問題が多発しています。
さらに、人の密集や感染を避ける為に、乗船前の研修や、会社説明会が中止されるなど、
リアルイベント開催にも悪影響が出ているのが現状です。
コロナ対策の3つの基本方針
船内は行動範囲が少なく、限られたスペースであるため、船内でのコロナ対策は極めて重要です。国土交通省が奨励している対策を中心に、ご紹介しましょう。
①健康管理
健康管理で免疫力を高めることが重要だ。
乗船中は、睡眠をしっかり取り、規則正しい生活、バランスの良い食事を心がけ、
日々の検温や、体調に違和感がないかの確認を行ないましょう。
船内では感染防止と感染の早期発見が何よりも大切です。
②感染防止
長期間、船内で生活を共にするため、乗船時には、健康状態を事前に確認し、
ウイルスを船内に持ち込まないようにすることも大切です
船内でできる感染防止は以下のような対策が挙げられます。
・普段より頻繁に換気を行う
・マスクを着用し、人の密集や近距離での会話など、接触、飛沫感染に繋がる状況を避ける
・ドアノブや手すりなど、共用部分はこまめにアルコール消毒を行う
など船内でできる感染予防に努めましょう。
船には、マスク・消毒液・体温計などを多めに持参しておく事をオススメします。
可能ならば、ソーシャルディスタンスの確保、作業前のミーティングの屋外実施、
食事時間を少しずらす事で、感染リスクを減らす工夫もあります。
感染時の対応
船内でコロナに感染してしまった際は適切な対策を取りましょう。
コロナの症状として最もよく見られるのは、発熱・せき・倦怠感です。
人によっては、頭痛や腹痛、味覚・嗅覚に異変が見られることもあり、コーヒーやワインの味がわからなくなったら注意が必要です。
また、8割近くは症状が比較的軽く、自覚症状がない場合もあるので、日々の健康管理・感染対策が重要になってきます。
もし自分にコロナ感染の疑いがある場合
体調に違和感を感じた場合には、船内電話を使って安全担当者に連絡し、
指示を受けるまで自室にて待機しましょう。
焦らず、冷静に対処することが大切です。落ち着いて自分が使用した道具や、
濃厚感染者の特定など、次の感染者を出さない為にも情報を整理しておきましょう。
同乗者にコロナの症状が見られた場合
感染の疑いがある人の隔離、保護具の着用、行先の港の衛生当局への連絡しましょう。
また感染拡大を防ぐ為、船内の濃厚接触者を確認し、自室にて隔離、船内の消毒をしよう。
まとめ
コロナ渦でも海運業界で人々の生活を支え続けている
船乗りの皆さん、本当にありがとうございます。
基本的にはまず、船内にウイルスを持ち込まないことが大切です。
日頃の生活から、マスクの着用や手洗いなどを心がけましょう。
また、コミュニケーションの取りやすい環境作りも大切です。
ソーシャルディスタンスを確保しつつ、船員の体調の確認し、感染の早期発見を心掛けましょう。
一人一人が注意・予防に努め、感染拡大を防区ことが大切です。
船乗りのみなならず、世界が協力し合い、コロナの波を乗り越えて行きましょう。
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