この時期、初乗船も間近に迫り、そわそわしている船乗りさんたちも多いのではないでしょうか。
先輩に知った人がいる訳ではなく、練習船とも勝手が違うだろうから何を持っていけばいいのか分からない!と困っている方もいるかもしれませんね。
そんな訳で今回は、『初乗船で持っていくとよいもの』を独断と偏見でご紹介いたします。
目次
1.仕事関連
2.プライベート関連
3.その他
最後に
1.仕事関連
①身に付ける仕事道具 ここでいう身に付ける仕事道具は、安全靴、作業服、防寒着等を指します。
会社支給の船や、持参する船など、会社ごとに異なってくるので乗船前に確認しましょう。数日分は郵送荷物ではなく手荷物に入れていき、万が一荷物が届かなかった場合でも仕事が出来るように備えておくと安心です。
安全靴は、会社支給でない場合JIS規格の製品か、そうでなくても大丈夫かどうか確認すると良いと思います。軍手、革手、長靴等は船から貸与される場合がほとんどですが、不安なら乗船前に一度確認をしておくと良いですね。ヤッケやカッパなども同様です。
また船には極端に小さいサイズ(女性用やSサイズのヤッケやカッパ、22センチの長靴など)や大きいサイズ(5Lのカッパなど)は用意されてない場合が殆どです。
そういった場合は持参、もしくは港で購入、船用品と一緒に発注などの対応が必要になりますので、事前に確認しておきましょう。会社と船に事前に確認を取っておくことで、乗船の荷物の不安の大部分を取り除けるはずです。
②腕時計
船上生活では時間を見ながら仕事や生活をしていくことになります。
ボットムとしての初乗船ですので、作業をしても汚れない時計を持っていくことをおすすめします。G-SHOCKを使っている人も見かけますが、個人的におすすめなのがQ&Qの1000円〜3000円程で購入できる腕時計です。一時期別ブランドですがチープカシオなんかも流行りましたね。
Q&Qは10気圧防水ですし、何よりお安いので汚れも気になりません。ガンガン仕事ができるので私も愛用しています。
③船員手帳、免状、印鑑 船員手帳、雇い入れ契約書と保険証のコピーも忘れてはいけません。
手帳の有効期限と健康診断の有効期限は毎回確認する習慣をつけましょう。また、印鑑も必要です(雇い入れの際に必要になります)。
免状は、士官で乗る場合のみ必要ですが、部員で乗る場合にもいつ何があるかわかりません。急遽執職を任せられるかもしれませんので、念のため免状を持っていきましょう。無線従事者の免許もお忘れなく。
船によっては、救命艇がついている船は小型船舶の免許が必要な船もあります。(ライフラフトしかついていない船には必要ありません)
このあたりは船会社が口を酸っぱく周知してくれるものと思いますが、自分でも再度確認しておきましょう。
④ノートパソコン・USB これは初乗船の際はなんとも言えません。
役職が上になってくると(正規の定員になると)書類仕事も増えますが、定員外や研修員として乗る場合は書類仕事もほとんどないでしょう。
船にもよりますが共有部に1台〜3、4台ほどパソコンを設置してあるので、もし必要があってもそれらを使って仕事をすることができます。
最初は様子を見て、月末書類でパソコンが混み合うのが嫌だったり、部屋で仕事をやりたいと思う人は持っていくと良いでしょう。また、パソコンは持って行かなくてもUSBをひとつ持って行っておくとなにかと便利です。
もちろん、映画やネットを見るために趣味で持参している人も多くいます。
2.プライベート関連
①部屋着 練習船同様、仕事以外の時間は皆思い思いの部屋着で過ごします。
プライベートな時間と言っても、食堂でご飯を食べたりトイレやお風呂へ行ったりもその格好でするのなら、男女問わず、露出の多過ぎないものがベターでしょう。
ジャージやユニクロのルームウェアを着ている人が多いです。
リラックスできる服装を用意していきましょう。船内は冷房が強く効いている場合もあるのでなにか羽織るものもあれば便利です。
②私服 これは完全に好みです。
しかし工場内や港を歩いたりするので、あまり露出の多い服装は控えるべきでしょう(工場によっては半袖禁止の工場もあります。乗船予定の航路から考えてみても良いでしょう)。
船へ乗込むことを考えると、サンダルやヒールはあまり推奨されません。
学生時代、練習船に乗られていた方は、その時の上陸の服装から考えると良いでしょう。もちろん、社会人ですのでそこまで制約はありませんが、節度を持って、安全とTPOに沿った服装を用意しておきましょう。
初乗船の際にはスーツでの乗船を求められる場合もあるので、こちらも事前に確認しておくと良いでしょう。
③生活雑貨、衛生用品 乗船する船が国内を回る船であれば、大抵のものは港で買えます。
しかし仮バースができない船に乗るのであれば、最低限の生活雑貨と衛生用品は揃えて乗っておくのが安心かもしれまけん。
頻繁に買い出しに行ける船でも、万が一のために数日分は暮らせるシャンプーやボディーソープ、洗剤などを小分けに持ってくる人も多いです。
また、コンタクトなどは買いに行ける保証もないので3ヶ月分、半年分など必要に応じて多めに処方してもらうと良いでしょう。不安な人はスペアのメガネを持っていくこともお勧めします。
船には大抵の常備薬と法定医薬品はありますが、自分が信頼する、よく使用する常備薬も必ず持っていきましょう。
以下は個人の好み、及び乗る船にもよるので分かりませんが、私はみんなが使ったシーツやホーフがあまり好きではないので(もちろんこまめにクリーニングには出されています!)毎乗船自前のシーツと布団カバーを持っていきます。お気に入り枕を持参している人も見たことがあります。
④娯楽用品 船に遊びにきてるのか!
と言われると、えへへ、すみませんと答えるしかないですが、長期乗船に娯楽は必須です。
釣竿を持ってくる人、ランニングシューズを持ってくる人、PS4を持ってくる人など様々。
筆者も楽器やティータイムに必要なお茶道具を持ち込んだことがあります。
とはいえ、初回の乗船はあまり大きい娯楽品は持ち込まずに様子を見て、次回の乗船で持ってくるのが一番周りからも好印象かもしれません。初回はなにかコンパクトな息抜きのできる道具を持参してみましょう(Blu-rayのディスクや小型ゲーム機、小説など)
野球のグローブやバトミントン、オセロや将棋、麻雀などは船に置いてある場合も多いので慣れてきたら他の乗組員と遊んでみるのも良いかもしれませんね。
3.その他
①勉強道具、筆記用具 勉強道具ですが、要らないと思った人は持って行かなくても良いかもしれません。
しかし初乗船、船の人たちも新人さんがどのようなレベルにあるのかを知りたくて質問をしてきたりすることもあるでしょう。
この航路の航法は?あの灯台の灯質は?潮流出してみて。トリム計算知ってる?等々…
そんな時に、学生時代使っていたまとめのノートでも、教科書でも、なにか一つでもあると部屋で予復習もできて便利です。
その場では答えられなくても、翌日調べて答えを言えば、お、この新人はやる気があるな、と好意的に受けとってもらえるでしょう。
また学生時代に学んだ船の知識は、直接役立つこともたくさんあります。ドック入渠前に船体構造を復習しておいたり、すぐに荷役計算をやることはないかも知れませんが、運用で勉強したトリム計算や船体の沈下の計算は上級職への仕事に直結します。
また、ノートとペンは船での仕事をメモするために必須です。清書用、下書き用とノートを2冊に分けるのもいいでしょう。船にもノートやペンはありますが、はじめは必ず持参しましょう。
②お土産 これさえ忘れなければうまく行きます。
みんな大好き、お土産です。
ネット上では、乗船のたびにお土産なんてめんどくさい、無くしてしまえばいい古い文化、という意見も見たことがありますが、私は好きです。
出身地の話ができるので話のきっかけになりますし、なにより日本全国のお菓子が頂けますから…乗船者が乗ってくる時の密かな楽しみです。
とはいえあまり気を使い過ぎる必要はありません。乗船予定の船の人数はあらかじめ把握していることでしょうから、みんなで食べきれるくらいの量の、あなたの街の自慢のお土産を持って行きましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。 何か一つでも参考になるものがあれば幸いです。
またこれはほんの一例であり、会社によっても必要なもの、持ってきてはいけないものは変わってきます。一番確実なのは会社や乗船予定の船に確認を取ることなので迷ったら必ず電話をして聞いておきましょう。
皆様の初乗船がスムーズなものになりますよう、お祈りしております!
著者について 氏名:高良 明日菜(仮名) 職業:内航船員 保有資格:三級海技士(航海) 第一級海上特殊無線 小型船舶1級&特殊 経歴・船種: 海上技術学校➡甲板員➡三等航海士 船員を目指したきっかけ:小さい頃から海が好きだったから、大きな乗り物に憧れがあったから、長期の休暇が魅力的だったから インタビュー・加筆修正:ITecMarin株式会社 写真: https://www.photo-ac.com/ , https://burst.shopify.com/
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