「船員はつらいよ」
学生時代この言葉を聞くたび、不安になりました。
学生の頃の私のように、「船員=大変な仕事」というイメージを持たれる方も少なくないのではないでしょうか。
そんな私も今では内航セメント船の船員。
実際に仕事でつらいこともありますが、恵まれた環境にあると自負しています。
そこで、船員となった現在から当時を振返り感じること、学生時代の自分に伝えたいこと(当時の想像・理想と現実について)を記載してみました。
これから船員になられる方、仕事に対して不安を感じている方に、少しでも参考になれば幸いです。
➡参考動画
1.学校で聞く船員イメージと現実のギャップ
私は学生時代、教官や先輩船員の方から、
「船員生活は拷問のような日々」
「学校の寮生活も厳しかったかも知れないが、もっとつらい」
などの言葉を浴びせられ、恐怖心を持って就職に臨んだ思い出があります。
確かに、寝る暇も無いほど働く忙しい船も多分にあることは事実だと思います。
かといってすべての船がそうであるわけではありません。
私は現在、セメント船の次一等機関士として乗船していますが、航行中は休憩時間もあり、(航路によりますが)電波に困ることがなくスマートフォンも使用できます。
時間も確保されて、環境が整備されているため、正直なところ、学生時代に聞いていた話よりだいぶ良いです。
学校で聞く情報は確かだと思いますが、最も重要なことは自分が「どのような船に乗りたいか」「なぜ、その船会社を選ぶのか」だと思います。
会社を最終的に選ぶのは自分。
自分の好み・将来の目的に合わせた会社を選ぶこと、そのためにしっかり情報収集することが肝要です。
2.船内の雰囲気の重要性
船内環境の良し悪しを決める要素は、やはり人間関係です。
特に直属の上司によって大きく変わると言っても過言ではありません。
自信もスキルも伸ばしてくれる先輩船員は稀有ですが、会社にそういった先輩が1人でもいると心の支えになってくれることは間違いないでしょう。
3ヶ月間船上では陸上で休む機会もなかなかありません。
ストレス発散をする場が無いと、人は本性が出ます。船内では長く身近に顔を合わせるからこそ、他人の見たくない部分も浮き彫りになってしまうことも事実あります。
しかし、私の職場(乗組員5名)は仲が良く、船内で定期的に飲み会を開いてストレス発散をしています。
自分の願う環境が上手く嵌まれば、船内では第2の家族のように関係を作り、休暇中はやりたいことにお金を掛けて楽しむこともできるのです。
実際にいろんな方から話を聞いてみて、自分に合った環境はどういうものなのかを知っておくこと、自から船内の雰囲気をよくするよう心掛けることが、結果的に快適な船内生活に繋がります。
3.つらい状況でも励む。応援される後輩を目指そう!
船の知識は特殊です。
一般教科を過ごしてきた時代から一変した方はまさに今体感されていることと思います。
学校の勉強や実習も忙しく、国家試験に合格しなくては就職できないことから、船員になるまでの道のりは平たんではありません。
もしかしたら脱落してしまった同志もいることでしょう。私も自分以上に優秀な人が挫折する瞬間を何度も見てきました。しかし、乗船が本来のスタートです。
乗船した日から、自分との戦いが始まります。
航行と荷役をするための実務に入り、学びながらも実践を繰り返し、試行錯誤を繰り返す日々を送るのです。
船員として慣れるまでの期間は覚えることも多く、特殊な環境であるため、特に最初は心休まる日も少ないでしょう。
ここで頭の片隅に置いておきたいことは、『先輩船員は基本、新人船員に注目し評価をしていること』です。
毎日の仕事をしっかりと励み、先輩船員との関係を大切にすれば、自ずと味方も増えて、働きやすくなります。
どんなにつらくても5年こなせば、仕事を捌けるようになっています。
成績の良し悪し、覚えの良い・悪いはさほど問題ではありません。
少し厳しい話もしましたが、船員として恵まれた環境で仕事ができていると感じています。
皆さんが一人前の船員となって、海運業界を共に盛り上げることができれば嬉しいです。
【著者について】
氏名: 参鍋 晃(仮名)
職業: 内航船員(749t セメント船)
保有資格: 4級海技士(機関)・4級海技士(航海)
経歴・船種: 海上技術学校➡機関員➡二等機関士➡次席一機士
船員を目指したきっかけ: 祖父にオススメされた後、中学2年生で決断
インタビュー・加筆修正: ITecMarin株式会社
会社SNS(情報発信):https://twitter.com/ITecMarin
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