はじめに
やあみんなアニキ船長です。
本日のテーマは、馬力と操作性満点の船、タグボート。
この記事を最後まで見れば、タグボートの性能と
そこで働く船乗りの仕事内容を理解できるはずだ!
(⬇︎動画で見られる場合はコチラ)
<目次>
①タグボートとは
②タグボート船員の1日
③タグボート船員にインタビュー
1.タグボートとは
タグボートの歴史は動力船と同じくらい古く、
蒸気機関が船に搭載されるようになるとすぐに登場した。
その役割は今と同様、当時主流だった帆船の離着岸の補助として開発された船だ。
タグボートは緩衝材としてのタイヤがついた小柄なフォルムと
サイズに似合わない程の強力な馬力・操作性の高さが特徴的。
通常、船は前後運動は得意だが、左右に旋回するのは苦手だ。
タグボートは、全長20~30mの小柄な船だが、大型船の離着岸を支援するため、
小さな船体にもかかわらず、3,000馬力以上の強い力を持ったエンジンを備えている。
また、細やかな動きを可能にするため、
推進機は360度回転するような特殊なものもあるんだ。
入出港時に貨物船を支援するタグボートの数は、
貨物船の大きさやタグボートの馬力によって決められている。
その機動性と力強さを武器に、港では「はしけ」を引っ張って貨物を輸送したり、
船の進水時やドックに入れる時、港湾内の工事などで建造物を輸送する際にも活躍するぞ。
港湾作業以外にも、海で故障や座礁した船の救援や人命救助で一役(ひとやく)買ったり、
最近流行りの、海洋風力発電などの洋上設備の建造やメンテナンスでも使用されている
引っ張りだこの船なんだ。
2.タグボートの1日
タグボートの凄さと役割がわかったところで、
気になるタグボート船員の1日を覗いてみよう。
6時 基地に集合
貨物船員と違い、陸上職と同じように職場に通勤する事が多い。
6時15分 無線で指示が入ったので、今日最初の仕事に取り掛かる。
朝一の仕事は、巨大コンテナ船の着岸支援だ。
6時50分 コンテナ船から無線が入り、乗組員それどれ、持ち場へ移動する。
7時 コンテナ船と並走して、タグボートとコンテナ船をロープで結ぶ。
今回は、船を引っ張るというより、船の方向転換を手助けする役割だ。
ロープがピンと張り、いよいよ着岸作業に入る。
無線で、緻密に連絡を取り合い、寸分狂わず岸壁に着岸させる。
船の操船には、高度な技術と経験が必要なため、
ここは経験豊富な船長の仕事だ。
8時 着岸完了
「ありがとうございました。さようなら」のやりとりで、ほっと一息、
事故なく作業を終えられた経験が自信とやりがいに繋がる。
作業後は、無線で作業終了の報告を行う。
8時20分 基地に戻ると、次の作業まで、船のペンキ塗りなど、保守作業を行う。
こうした、日々のメンテナンスが安全と作業効率に繋がっている。
11時 無線が入り、本日2件目の業務開始。今回は出港支援だ。
11時40分 1回目同様、コンテナ船とタグボートをロープで繋ぎ、作業開始。
水先人の指示で後進で引っ張り、少しずつ岸壁を離れ、
後ろ向きに徐々に進み始める。
今回は、水先人の指示が分かりにくく困惑したが、経験でカバー。
その後、タグボートが後ろから引っ張ることでコンテナ船は
港内で方向を変える。
12時 作業終了。ロープを切り離し、無線で報告。引き続き、作業指示が出た。
他の港に向かい、船の交換部品などを受け取りに行く。
12時30分 港に到着し、昼食。
味噌汁とお米は船で用意されているため、
港近くのコンビニで惣菜や弁当を買う人が多い。
13時30分 業者が持ってきた交換部品を積み込み基地へ移動。
再びメンテナンスの続きや打ち合わせを行う。
14時 再び業務の連絡が届く。
「今日は、少し帰りが遅くなりそうだな」
16時 出航。ここからは2件続けて、船の入出港を支援する。
18時 作業終了。あたりはすっかり薄暗くなっている。
19時 基地に戻り解散。
この会社では、原則、朝8時出勤、16時30分解散だ。
しかし、港の入出港は朝夕が多いことから、タグボートの仕事も朝夕が忙しい。
そのため、朝6時台などの早出が多い、解散も、入出港のタイミングによって
大きく変わるため、当日にならないとわからないなんてこともよくある。
もし入出港が重なり、日を跨いでしまった場合は、次の日が休みになる。
このようなことも月に2、3回程ある。
貨物船とタグボートの働き方で最も違うのは、自宅から通勤できることだ。
休みは、船ごとに割り振られており、月に9日。有給休暇は年20日だ。
仕事の性質上、残業時間は1ヶ月50〜70時間と比較的多くなりがちだが、
航海手当や乗船手当、食事代の支給もあり、お給料は一般の会社員と比べ、かなり高い。
結構手当によって増減するので、月の固定給だけでなく、
残業や手当があることを念頭に入れておいた方がいいだろう。
当直制や船内生活がどうしても苦手な船員はタグボートの働き方は良いかもしれない。
ただし、オーシャンタグがある会社の場合は、2~3ヵ月遠出する事もある。
その分手当がつくようなので、自分に合った形を見つけるのがいいようだ。
3.タグボート船員にインタビュー
ここからは、漁船を経験後、現在はタグボートで働いている現役機関長に
詳しい仕事内容を突撃インタビューだ。
Q.タグボートで働くようになったきっかけを教えてください。
以前は漁船で働いていたのですが、転船を決意し、
陸運局に登録したところ、この船を紹介していただいたのがきっかけです。
Q.タグボートで働く面白さや、やりがいを教えてください?
港にいることが多いので、色々な船を間近で見ることができ、
船好きにはたまらない仕事ですね。
タグボートは船の中では小柄ですが、陸上の機械に比べると、かなり大きいです。
巨大で強力なエンジンを管理しているというのはやりがいですね。
Q.タグボートで働く際、必要なスキルや資格はありますか?
海技士資格と無線の資格は必要です。
入港してくるのは、日本の船ばかりではないので、英語は覚えておきたいですね。
無線でのやり取りを英語で行うこともありますよ。
Q.漁船からタグボートに転船して感じたことはありますか?
短期間で家に帰ることができることは大きいです。
やはり、家族の顔を見れることは嬉しいですね。
インタビューは以上です。ありがとうございました。
まとめ
①タグボートは小柄だが、船の入出港や海上業務を行うパワフルな船
②操船、船の離着岸支援業務には高い技術と、経験が必要
③貨物船と違い、陸上職に近い働き方ができる職場
<船員の方>
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